たすきリレーの普及啓発のため日本列島1万㎞完走

元東京都児童相談所職員  日本一周オレンジリボンランナー     井上 幸夫(イノウエ ユキオ) プロフィール

    

  1953年生まれ。1981年、東京都に福祉の専門職として入る。児童自立支援施設19年、障がい者施設5年、児童相談所9年。20143月定年退職。

  33年間の中で、施設でWITHの精神を学び、また、子どもを援助する上で、決してあきらめない気持ち(粘―ギブアップ)やチームワーク、そして笑顔の大切さを実感。

 2007年に始まった神奈川・東京の子ども虐待防止を呼び掛けるたすきリレーに参加、中学から始めた陸上競技(マラソン)が虐待防止に役立つことに気付く。それ以来、全国各地で開催されることを願い、2010年から2017年までに、岐阜、滋賀、小山市、高知、下関市、名古屋市、長野、茨城、徳島、静岡、香川、島根、大分、鳥取、九州中部、熊本、福島、野木町、宮崎のたすきリレーに参加(神奈川・東京含め約50回)。各地域のたすきを掛けて走り交流の輪が広がっている。

 2014年10月26日横浜・山下公園から、「オレンジリボンたすきリレー目指せ!日本一周」というテーマで、子どもを虐待から守る子育て支援のシンボルマークであるオレンジリボンのたすきを掛けて、北は北海道から南は沖縄県まで、47都道府県を一筆書きのように1年掛けて単独走破(約9千㎞完走)、2015年10月25日横浜・山下公園に無事ゴールする。「日本一周 一年一万キロ 一期一会の旅」となる。また、出会いがエネルギー源で、啓発ランが「感謝のラン」になる。日本一周で約350か所の関係機関を訪問(交流・宿泊)し、また、道中、各地の関係者や子ども及び市民とウィズラン(一緒に走ること)する。

日本を一周してみて、子どもの虐待は「親が悪い」では解決できない課題があり、親子を取り巻く関係機関が手をつないで一歩踏み出し、市民と一つになることが重要と確信、それを目指しているたすきリレーが市町村(要対協)単位に実施されることがより有効であるという考えに至る。また、オレンジリボンキャンペーンのこれまでの10年を振り返りこれからの10年を展望した時、啓発活動の一つとして市民マラソン大会とコラボし、全国から集まるランナーとそれを応援する地元市民に対して呼び掛けることで活動のすそ野が広がり、大会の社会貢献にもつながり、ランナーにとってもマラソン人生をより豊かなものにするなど効果が大きいことに気付く。

2016年11月19日~21日九州中部横断たすきリレー(子どもたちに笑顔を届ける熊本復興支援たすきリレー)を実施。熊本地震復興支援として、日本一周等で知り合った全国の関係機関に呼び掛け、応援メッセージの寄せ書きされたオレンジ色のたすき34本を、大分から阿蘇を経由して熊本まで150㎞を2泊3日掛けて現地や東京などの皆さんとウィズランしながら届ける。最終日は熊本の皆さんとそのたすきを肩から掛けて10か所の関係機関を中継して熊本城にゴールする。